-モンゴル伝承民話-
■オンドリ
むかし、オンドリはとてもオシャレで奇麗なシッポを持っていました。当時、鳥たちが宴会やナーダムをするときには、いつもオンドリを招待するのでした。

しかし、クジャクはそれをねたんで、その奇麗なシッポを騙し取ることを思いつきました。

クジャクは、オンドリと友達になって、ナーダムなどにはいつも一緒にいくようになりました。ある日の夕方のことです。
「オンドリ君、僕にその奇麗なシッポをつけさせてくれないかなぁ、近くの岩場にすむトンビたちに見せてあげたいんだ」

「いいけど、僕のシッポは、何時にもって帰ってくれるんだい?」
「うーむ、とりあえず、僕が帰ってくるまで、僕のシッポをつけていてよ」クジャクは、オンドリの尋ねたことには答えず、オンドリの前に自分の短いシッポをおいて言いました。

クジャクは、奇麗で長いオンドリのシッポをつけながら言いました。
「僕が今晩帰らなかったら翌朝早く呼んでくれ、僕は君の声を聞いたらすぐに走って帰ってくるから・・・」

「そして、もし明け方に帰ってこなかったら正午に呼んでくれ、正午もまた帰ってこなかったら夕方に呼んでくれ、夕方に帰ってこなかったら明け方に呼んでくれ、僕は必ず帰ってくるから」と言い残してでかけていってしまいました。

翌朝になりました。でも、クジャクは帰ってきません。

昼になりました。まだ、帰ってきません。

夕方になりました。やっぱり帰ってきません。

その翌日の明け方にオンドリは、「ゴ ゴーゴー! トゴー スー!」と叫びました。トゴスというのがモンゴル語でクジャクという意味で、「トゴス」と大きな声で呼びかけるとオンドリの泣き声に似てくるのです。さて、クジャクからは何の返事もありません。ふたたび、叫びました。まったく返事がありません。

昼になりました。オンドリはまた叫びました。帰ってきません。

夕方になりました。叫びましたが、やはり、帰ってきません。クジャクはシッポを奪ったあとは、ずっとずっと遠い南の土地へ逃げてしまっていたのです。

オンドリはというと、いまだにあきらめきれずに、クジャクを待ち続けていて明け方、正午、夕方になると「ゴー! ゴー! トゴーッゴース、友よ帰ってこぉい」

「トゴース! 絹のような私のシッポを返しておくれー!」といまでも人がビックリするくらい大きな声で鳴くようになったのです。


おしまい

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